リヨン・メトロポール概要
令和6年12月19日
基本情報
- リヨン・メトロポールの構成 58コミューン(自治体)
- 人口 約138万人(オーヴェルニュ・ローヌ ・アルプ州の17,5%)
- GDP 890億ユーロ
- 政治
- ● リヨン市長: Grégory DOUCET(グレゴリー・ドゥセ)、環境(Les Écologistes)所属、2020年7月~
- ● リヨン・メトロポール議長: Bruno BERNARD(ブルーノ・ベルナール)、環境(Les Écologistes)所属 、2020年7月~
- ● その他の主な政治グループ: - ポジティブなメトロポール(La Métro Positive) - 社会党、社会左派、行動を共にするエコロジー(Socialistes, la gauche sociale et écologique et apparentés) - 進歩、共和(Progressistes et républicains) - 議員と市民のシナジー(Synergies Elus et Citoyens)
- ● 議員数: 150人
経済
- 主な産業
- ● 医療
リヨン・メトロポールはフランス第2位の医療産業地域であり、約79,000人の雇用を創出しています。リヨンには、バイオテクノロジーセンターが2つあり、バイオ医薬品、ワクチン、脳科学、美容皮膚科学などの研究が行われています。1965年にリヨンに設立された国際がん研究機関では、50カ国以上からの研究者360人が、がんの国際共同研究を行っています。また、世界保健機関の研修所があります。 - ● デジタル
リヨン・メトロポールは、フランス第2位のデジタル産業地域です。リヨンのデジタル産業には約42,000人が従事し、約1,000社のスタートアップが所在しています。特に、ヴェーズ(Vaise)地区には、多くのデジタル関連企業がフランス国外から進出しています。また、リヨンにはデジタル分野の高等教育機関50校及び20のインキュベーターがあります。オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ州の施設「デジタルキャンパス(Campus Région du Numérique)」では、デジタル分野の企業や学生による交流や企業のデジタル化の支援等が行われています。 - ● エネルギー・環境
リヨン・メトロポールにおけるエネルギー・環境産業に関連する企業は、エネルギー転換の促進を目指し、水素燃料電池の生産拠点や水素充電ステーションの設置等を行っており、同産業は約77,000人以上の雇用を創出しています。リヨンのコンフリュアンス(Confluence)地区では、環境未来都市の構築に関わる多くの企業が、ケミカルリサイクルを含む廃棄物処理ソリューション、省エネルギー改修や低炭素型モビリティのサービス等を提供しています。なお、リヨン・メトロポールでは、大気汚染とヒートアイランド対策のために、通常の植樹よりも成長速度が速く、丈夫に成長するとされる「宮脇方式」という植樹方式が採用されています。 - ● 化学
リヨン・メトロポール南部に位置するフランス最大の化学工業地域「ケミカルバレー(Vallée de la Chimie)」は、約15,000人の雇用を創出しています。ケミカルバレーには7つの研究開発センターがあり、毎年1,000件以上の特許が申請されています。同地域に所在する各企業は、環境保護プロジェクト、温室効果ガス排出量の削減等に取り組んでいます。 - ● 自動車
リヨン・メトロポールの自動車産業は、19世紀に発展し始め、20世紀初めには130社以上の自動車関連企業が所在していました。現在、リヨンの自動車産業は、エンジン、車体、エレクトロニクスの製造と販売を強みとし、エネルギー転換の課題に直面する中、より環境に優しい自動車の開発が進められています。また、リヨンには、電気自動車の普及とともに多くの充電ステーションが設置され、さまざまなカーシェアリングサービスもあります。 - ● 繊維
リヨンには、絹をはじめ、皮革やレース等を含む繊維産業の長い歴史があります。自動織機「ジャカード織機」は、1801年にリヨンの発明家によって製造されました。現在、リヨンには880社の繊維関連企業が所在し、約1,830人の雇用を創出しています。また、リヨンで毎年開催されているイベント「シルク・イン・リヨン」には、世界中から企業や自治体等が出展しています。 - ● ガストロノミー
- リヨンは「美食の都」として知られ、同メトロポールには5,200軒以上のレストランがあります。また、リヨンは欧州最大級の国際外食産業見本市であるSIRHAの開催地であり、同見本市と同じ会場内ではボキューズ・ドール国際料理コンクールやクープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリーが同時開催されています。
- ● 医療
- 競争力拠点(全8分野)・企業クラスター(全8産業)
- 〇 リヨン・メトロポールにある主な競争力拠点
- - バイオマス・環境科学 AXELERA
- - 交通産業(トラック、バス、車両等) CARA
- - 自然環境(食品、医療、コスメ等) INNOV'ALLIANCE
- - バイオ医療、ワクチン診断薬、医療機器 LYONBIOPOLE
- - マイクロ/ナノ・テクノロジー MINALOGIC
- - 原子力産業 NUCLEAR VALLEY
- - 繊維産業 TECHTERA
- - 植物 VEGEPOLYS
- 〇 リヨン・メトロポールにある主な企業クラスター
- - 航空宇宙産業 CLUSTER AÉROSPACE
- - 省エネルギービル CLUSTER ÉCO-BÂTIMENT
- - 照明産業 CLUSTER LUMIÈRE
日本との関係
- 歴史
日本とリヨン市の関係は歴史が長く、江戸末期まで遡ります。ナポレオン3世の統治下,リヨン市は「絹の都」として栄えましたが、1855年に流行した蚕の病気により,フランスの養蚕農家は壊滅状態になりました。その際、江戸幕府から蚕卵が送られたことによってフランスの絹産業は復興し、リヨン市の絹織物業者は、蚕と生糸を日本から輸入するようになりました。これをきっかけに、日本とリヨン市の交流が活発になり、その後、近代化が始まった日本にフランスから多くの技術が伝わりました。1871年、明治政府は、オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ州生まれのエンジニアであるポール・ブリュナ氏に富岡製糸場の建設を依頼した他、京都西陣織にリヨンの織物技術が活かされるなど、絹及び絹織物は日仏関係の黎明期において重要な役割を担いました。なお、日本とリヨン間の友好関係を象徴する富岡製糸場は、2014年6月にユネスコ世界遺産に登録されました。 - 姉妹都市交流
1959年に、横浜市とリヨン市は姉妹都市提携を締結しました。2019年、姉妹都市提携 60 周年を記念し、荒木田横浜副市長(当時)がリヨン市を訪問し、桜の植樹式が開催されました。また、横浜市とリヨン市の交流のきっかけが絹であったことから、絹の祭典「シルク・イン・リヨン」と「絹の都市国際ネットワーク」調印式が行われました。
- 人物
- 福澤 諭吉(ふくざわ・ゆきち) 1835年-1901年
福澤諭吉は、1862年に徳川幕府が派遣した訪欧使節団の一員として、リヨンを含むフランスを訪れています。 - 永井 荷風(ながい・かふう) 1879年-1959年
永井荷風は、1908年に、銀行員としてリヨンに赴任し、フランス滞在をまとめた「ふらんす物語 – Histoires françaises」を執筆しました。永井荷風はリヨン6区のPlace Edgar Quinet近くに住んでいました。 - 遠藤 周作(えんどう・しゅうさく) 1923年-1996年
遠藤周作は、慶應義塾大学でフランス文学を学び、フランスのカトリック文学をさらに学ぶため、1950年にリヨン大学に入学しました。作品の多くがフランス語に訳され、映画化されています。遠藤周作はリヨン2区Rue du Platに住んでいました。 - 若月 馥次郎(わかつき・ふくじろう) 1881年-1927年
若月馥次郎は、1920年から1927年まで在リヨン日本領事館の領事を務めました。若月領事は、多くの非営利団体の活動にかかわるとともに、公邸に市民を招き文化交流を行いました。リヨン8区には、「Rue Wakatsuki」(若月通り)があります。