オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ州 経済指標 2024年
要点
●フランス最大の工業地域:オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ州では61,000拠点で52万人以上の雇用(各種雇用形態を含む)を創出しており、国内最大の工業地域。工業セクターは同州の付加価値の18.4%を創出(フランス全体では13.1%)している。
●フランス最大の低炭素エネルギーによる発電地域:フランスにおける原子力発電の26%、水力発電の46%を供給している。
●国内第2の経済規模:同州の国内総生産(GDP)は2,910億ユーロで、EU内の地域圏(州)として第4位、フランスにおいて第2位(フランスのGDPの11.8%)。これはEU加盟国で第12位のフィンランドのGDPを上回る。一人当たりGDPにおいてもフランス第2位(35,500ユーロ)。
●国内第2の技術革新地域:同州はGDPの2.9%に相当する84億ユーロを研究開発に支出しており、これはフランスにおける研究開発支出の15%に相当。民間企業の仏人研究者の16%が同州の研究開発拠点に所属している。国内の特許申請数の19.8%が同州で申請(2022年は2,196件)されている。
●国内第2の高等教育地域:同州には約38万人の学生が高等教育機関に在籍し、全国の技術系学生の15%(約25,900人)、全国の技術短期大学及びビジネススクールの学生の15%が同州で教育を受けている。同州の労働人口の47%が高等教育修了者であり、フランス国内平均の43.2%を上回る。
●国内第2の人口:同州の人口は800万人を超えており、オーストリアやスイスとほぼ同規模。リヨン都市圏の人口は約230万人で、パリ都市圏(720万人)に次いで人口が多い。
●国内第2の民間雇用:雇用率は67.5%で、民間部門における雇用者数は247万人(2022年末時点)であり、国内第3位のヌーヴェル・アキテーヌ州より60%多い。
●国内第2の起業地域:2022年には過去最高の12万5,000社以上が起業された。
●国内第2の輸出企業数:貿易財を商う輸出企業数は国内第2位の24,129社。このうち工業製品(農業加工品、林業、廃棄物再生・加工等)の輸出企業数は国内最多。
●国内第2の観光地域:同州の観光収入は、フランス全体の観光収入の16%を占める140億ユーロ。特に、スキーリフトによる国庫収入の81%が同州内によるもの。
2023年の動向
●2023年のフランスの経済成長率は著しく減速。フランス銀行は、2023年末までの経済成長率を0.9%と予測、2024年も同じく0.9%の見込み。
●2023年も物価上昇は国内経済に影響を与えた。フランス銀行によれば、2023年初にピークをうったEU基準消費者物価指数(HICP)は、年平均で5.7%となる見込み。国立統計経済研究所(INSEE)によれば、インフレ率の上昇傾向は2023年中に減速し、2023年12月時点におけるHICPは前年比で4.1%の上昇にとどまる見込み。
●付加価値税(TVA)申告データ(フランス公共財政総局)によれば、2023年1月から9月末までのオーヴェルニュ・ローヌ・アルプ州における企業の総売上は、サービス業及び工業部門にけん引され、前年同期比で7%増加。
●2023年1月~9月末までの同州の財貿易の輸出額は2.8%増加した一方、輸入額は1.3%減少。9月末時点における同州の貿易相手国上位5カ国(ドイツ、イタリア、スペイン、ベルギー、米国)は前年と同様であったが、ドイツへの輸出は減少傾向。
●2023年の建設業を巡る動向は著しく悪化。2022年10月から2023年9月までの同州の住宅着工件数は前年比で16%減少。建設中の建物の床面積は19%減少(環境・地域整備・住宅局(DREAL))。
●2023年の同州内の観光業は比較的好調。夏季シーズンの宿泊数が1.9%増加。観光客数は、秋のラグビーワールドカップ開催や出張客によって増加(ポリュテック(Pollutec)産業見本市の来場者数は前年比11%増加)。2023/2024年冬期シーズン初期における山岳リゾートの客室稼働率は2.5%増加。
●同州内の航空輸送は引き続き回復傾向にあり、コロナ前の水準に戻りつつある。2023年1月~9月、同州内の10の空港の旅客数は19.8%増加。
●2023年1月~9月末までの起業数は、前年同期比で1.3%減となり、やや減少する見込み。
●社会保険庁(URSSAF)のデータによれば、2023年初から9月末までの間に、同州内の企業雇用率は0.6%増加(15,000人増)。
●2023年第3四半期、求職者数は前年比で減少したものの、第四半期に0.3%増加した(公共職業安定所(France Travail)データ)。