フランスにおける新型コロナウイルスの発生状況(2020年4月28日~5月2日)

令和2年5月3日

2020年5月2日

【統計】
●2日(土),感染者数計は794人増えて130,979人。入院者数は60人減り25,827人,うち重篤者は51人減り3,827人。病院での死者は118人増え15,487人,要介護高齢者施設での死者は48人増え9,273人。よって,フランス国内の死者数は166人増え24,760人。
 
●オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ地域圏の統計は,今日も発表されていない。
 
【報道概要】
●本日分の「移動制限措置解除の判断の目安となる県毎の感染状況・集中治療室稼働率の色分け」が発表された。
https://twitter.com/MinSoliSante
 
●マクロン大統領は,公衆衛生の非常事態(7月24日まで延長する方針が閣議決定)における文化活動の今後の方針について,6日(水)に明らかにする旨,Twitter上で発信。
 
●カスタネール内務大臣は,5月11日以降の公共交通機関内でのマスク着用義務について,当局による検問を行う方針を示した。
 
●ヴェラン連帯・保健大臣は,感染者の追跡・接触を知らせる携帯アプリケーションである「Stop-Covid」について,5月11日の時点では運用が開始されない旨述べた。また,Parisien紙のインタビューで,(夏バカンスの)航空券を取るべきかとの質問に対して,個人的に航空券の購入については担保できないとし,(フランス国民は)予約を急ぎすぎるべきではないと答えた。
 
● SNCF(フランス国鉄)総裁のFarandou氏は,昨年12月の年金改革に伴う鉄道ストライキと新型コロナウイルス感染拡大の影響により,この数か月で約30億ユーロ(約3,500億円)の利益が減り,政府へ支援を求める計画であることを明かした。
 
●グラン・テスト地域圏バラン県ケルツフェルト市のClaude Schoettel市長が新型コロナウイルス感染により死去(享年74歳)。この数週間,集中治療室で治療中であった。
 
●リヨン市は学校再開に関して,5月11日及び12日(13日は水曜日のため休校)を教師の準備期間に充て,5月14日から幼稚園の年長組,CP,CM2,5月25日からCM1,6月4日からCE1,CE2を再開する方針。1クラスの上限が15人であるため,グループ毎に週2回(月曜と木曜,火曜と金曜)の登校とする予定。幼稚園の年少・年中組は,児童間の社会的距離の確保や衛生対策が難しいとして,現時点で詳細は未定。

2020年5月1日

【統計】
●1日(金),フランスでの感染者数計は604人増えて130,185人。入院者数は396人減り25,887人,うち重篤者は141人減り3,878人。病院での死者は125人増え15,369人,要介護高齢者施設での死者は93人増え9,225人。よって,国内の死者数は218人増え24,594人。
 
●オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ地域圏の統計は22時30分現在,公表されていません。
 
【報道概要】
●本日分の「移動制限措置解除の判断目安となる県毎の感染状況・集中治療室稼働率の色分け」が発表された。
https://twitter.com/MinSoliSante
 
●昨日分の上記の色分け(赤,オレンジ,緑)について,サンテ・ティエンヌ市長(ロワール県)やソルス・シュル・ソーヌ市長(ドローム県)など複数の市長が不満を表明。特にフランス国内でも感染者数が少ないカンタル県のBruno Faure県議会議長は「冷水を浴びせられた」と発言。
 
●ルモワンヌ・ヨーロッパ・外務大臣付副大臣(観光担当閣外大臣)は,テレビインタビューで,「夏のバカンスはお互いの努力次第である。(これまでのバカンスとは)当然ながら少し違うだろう。なぜならウイルスはバカンスを取らないからだ」と述べた。また,5月末にはバカンスに係る詳細が明らかになると語った。
 
●本日正午過ぎ,イル・ド・フランス地域圏セーヌ・サン・ドニ県オーベルビリエ副市長のBoualem Benkhelouf氏が新型コロナウイルス感染により死去。数週間にわたり集中治療室で闘病中であった。
 
●リヨン市内の有名パン店である「Boulanger de l’ile Barbe」の代表を務めるPhilippe-Marc Jocteur氏は,4月29日にマクロン大統領から電話があり,16分間にわたって会話したことを明かした。店の経営状況などを説明するとともに,大統領からも部分的失業などに関する質問があったとのこと。

2020年4月30日

【統計】
●30日(木),感染者数の統計はなし。入院者数は551人減り26,283人,うち重篤者は188人減り4,019人。病院での死者は191人増え15,244人,要介護高齢者施設での死者は98人増え9,132人。よって,フランス国内の死者数は289人増え24,376人。
 
●オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ地域圏の入院者数は前日から48人減り2,489人,重篤者は12人減り371人。病院での死者数は20人増え1,331人。
 
●県別入院者数・死者数(対前日増加人数)
 リヨン市を含むローヌ県が1,092人(+1)、死者513人(+11)。アン県が160人(-1)、死者80人(+1)。アリエ県が44人(-1)、死者26人(+0)。アルデッシュ県が145人(+2)、死者67人(+0)。カンタル県が27人(+0)、死者5人(+0)。ドローム県が109人(-14)、死者121人(+3)。イゼール県が165人(-26)、死者107人(+4)。ロワール県が392人(-6)、死者187人(+1)。オート・ロワール県が30人(-1)、死者11人(+1)。ピュイ・ド・ドーム県が45人(+1)、死者35人(+2)。サヴォワ県が72人(-4)、死者42人(+1)。オート・サヴォワ県が208人(+1)、死者137人(-4,前日値の修正)。
 
【報道概要】
●スポーツ省は、5月11日以降のスポーツの条件を公表した。自宅から100キロ以内であれば、野外でも時間無制限で許可書なく運動することができる。ただし、10人以上集まってのスポーツ・コンタクトスポーツは禁止。2人でジョギングや自転車を行う場合は10メートル以上の間隔を、野外でのテニス・ヨガ・フィットネスは約4平方メートルの間隔を保つ必要がある。各スポーツの詳細については後日発表予定。
 
●INSEE(フランス国立統計経済研究所)は、フランスの第1四半期国内総生産が、前期に比べ5.8%減少したと発表。国内総生産記録を開始した1949年以来の最大の減少となった。前期の0.1%減少に続き、2四半期連続のマイナス成長となり、(フランスの定義上)景気後退に入った。
 
●4月28日にフィリップ首相が発表した,段階的な移動制限措置解除の判断の目安となる,感染状況や集中治療室の稼働率に基づく県毎の色分けが発表された。
https://www.bfmtv.com/sante/carte-du-deconfinement-rouge-orange-ou-vert-quelle-est-la-couleur-de-votre-departement-1905084.html
 
●学校再開に関し,混雑を避けるため学年毎に登下校時間や休み時間が区切られる。教室内(机の距離を含む),階段,廊下,食堂,トイレ,運動場では社会的距離1mが確保される。幼児の昼寝部屋にも社会的距離が適用される。学校到着時,授業開始・終了時,トイレ後,咳・くしゃみ・鼻をかんだ後,給食前などでは手洗いが徹底される。保護者の校内立ち入りは不可(幼児を含む低学年の児童は学校が調整)。生徒の登校前,授業中,昼食中など少なくとも10分以上の換気が頻繁に行われる。サッカーなどのボール遊び,柔道などの身体的接触がある授業は禁止。筆記用具の生徒間での共有も制限され,絵具を教師が生徒別に予め準備し使い回さない(使用後に捨てる)などの措置が取られる。
 
●リヨン市長は、France Infoにて、5月11日以降リヨン市内の公共の場(公道を含む)でのマスク着用義務を行う方針を明らかにした。「5月末・6月初旬の感染再拡大を防ぐためには、公共の場所でマスクを着用する必要がある。アジア圏の国では成功していることだ。」と話した。なお、人口50万人を超えるリヨン市は、市民のために150万枚のマスクを発注している。またリヨン・メトロポールとオーヴェルニュ・ローヌ・アルプ地域圏も住民にむけてマスク配布を計画している。
 
●リヨン・メトロポールは、学食の閉鎖により困難な状況にある中学生約1万2000人に支援を行う。家族係数(所得税算出に係る指数)が400ユーロ以下の生徒には100ユーロ、家族係数が401ユーロ~800ユーロの生徒には60ユーロが支給される。当支援の総額は90万ユーロに及ぶ。
 
●ローヌ県知事は、「5月11日の外出制限解除はあくまで目標であり確実なことではない。地域の衛生状況に応じて外出制限解除の詳細が決定される。ローヌ県内、特にリヨン・メトロポール内での感染が続いている。外出制限で新規入院数は減少しているが、今もなお新たな感染・新規入院が毎日確認されている。これまでにないほど、外出制限を厳守しなければならない。」と注意喚起を行っている。
 
●ロワール県公共財政局は、ロワール県の零細企業1万682社が連帯基金を受け取ったと発表した。1社にあたり約1,326ユーロ支給され、総額は1,400万ユーロを超える。連帯基金を支給されたのは主に商業、自動車修理業、サービス業、建設業、ホテル・レストラン業である。
 
●グルノーブル市長は学校の段階的な再開について、以下の日程計画を発表。
5月12日(火)から託児所の再開(約3000人の幼児のうち、約400人の受け入れ)
5月14日(木)から小学校・学校食堂の再開(11日から3日間の学校清掃が行われる。)
5月18日(月)から課外授業の再開。
5月25日(月)からの幼稚園の再開(18日の週に3日間の園内清掃が行われる。)
なお、当計画は今後の感染状況や国の指示より変更される可能性がある。最終決定内容は来週以降に発表される予定。

2020年4月29日

【統計】
●29日(水),感染者数の統計はなし。入院者数は650人減り26,834人,うち重篤者は180人減り4,207人。病院での死者は243人増え15,053人,要介護高齢者施設での死者は184人増え9,034人。よって,フランス国内の死者数は427人増え24,087人。

2020年4月28日

【統計】
●28日(火),フランスでの感染者数は1,520人増え129,859人。入院者数は571人減り27,484人,うち重篤者は221人減り4,387人。病院での死者は313人増え14,810人,要介護高齢者施設での死者は54人増え8,850人。よって,フランス国内の死者数は367人増え23,660人。
 
●オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ地域圏の入院者数は前日から53人減り2,610人,重篤者は27人減り406人。病院での死者数は20人増え1,275人。

●県別入院者数・死者数(対前日増加人数)
リヨン市を含むローヌ県が1,112人(-39)、死者490人(+9)。アン県が157人(-5)、死者77人(+2)。アリエ県が51人(-3)、死者24人(+0)。アルデッシュ県が130人(+28)、死者65人(+1)。カンタル県が29人(+3)、死者5人(+0)。ドローム県が139人(-5)、死者113人(+0)。イゼール県が210人(-8)、死者101人(+3)。ロワール県が408人(-10)、死者182人(+4)。オート・ロワール県が35人(-3)、死者9人(+0)。ピュイ・ド・ドーム県が47人(-1)、死者33人(+0)。サヴォワ県が75人(-8)、死者41人(+0)。オート・サヴォワ県が217人(-2)、死者135人(+1)。

【5月11日以降の制限措置解除等】
移動制限措置解除等に係る第1段階の措置について、フィリップ首相が国民議会にて演説し、571票中,368票の賛成多数をもって以下の内容が議決された。

●現状認識
3月17日以降,戦時下や感染爆発の際にも前例のない制限措置をとっているが,いつまでも続けるわけにはいかない。経済的にももたない。現在の様々な制限は有効であり,医療体制の崩壊を防いだ。
4月14日以降,入院者数は減少に転じ,4月8日以降,重体患者数も減少に転じている。段階的に,確実に,賢明に,制限を解除してくべき。今後状況が悪くなるようなことがあれば,5月11日という日付は後ろ倒しになる。医療体制は維持されているが,医療従事者は疲れ切っている。

●基本方針
「ウイルスと共に生きる」,「段階的」,「地方毎に」が基本方針の3本柱。我々はウイルスと共に暮らさなければならない。ワクチン開発や集団免疫の形成はまだ先の話。ウイルスが広がるスピードを抑えなければならない。
5月11日以降も毎週状況を確認し対応していく。6月2日以降,新たなフェーズに入れることを期待しているが,仮に第2波が確認されたら,再度外出制限に戻る。フランス国民の民度の高さを見せて欲しい。
県ごとに段階的に制限解除を行う。地方・県によって状況は大きく異なる。明日から,カステックス制限解除担当長官を中心として各県議会等との協議を開始し,明後日からは各県の民間団体とも協議を開始する。5月7日までに各県毎の方針を固めていく。5月7日以降、毎晩、県の感染状況をフランス公衆衛生局が報告する(感染が少ない県は緑色で、多い県は赤色で表示される。)。
5月11日以降を一言で言えば,「防御,検査,隔離」である。従来どおり,社会的距離,手洗い等を徹底していただきたい。

●検査・マスク
5月11日以降は1週間にあたり70万件の大量検査を行う。感染者との接触があった人も検査される。全ての検査は保険で100%カバーされる。学術委員会は一日当たり1,000~3,000の陽性者を見込んでいる
多くの状況においてマスク着用が推奨される。学術委員会による見解の変化もあった。マスクは殆ど意味が無いとしていたが,あるに超したことはない,と意見が変わった。従来我々は,医療用マスクを20週間分備蓄し,その他は輸入に頼っていたが,EU,米等と同様に,輸入が出来なくなり,需要が供給を上回ってしまった。
我々は,マスクの国内生産を5倍に拡大し,医療従事者に優先的にマスクを供給し,布マスクの生産も開始した。現在,週に1億枚のマスクと2,000万枚の布マスクを生産することができる。5月11日には十分な量のマスクが供給される。

●学校
5月11日以降、10名を限度に保育園(creche)を再開する。幼稚園・小学校も段階的な再開を行うが1クラス15人まで、マスク・消毒ジェルを供給し感染防止対策を徹底する。子供のマスク着用は義務づけない,登校も保護者の自由意志に基づく。
18日から感染が少ない県に限り、中学校の段階的な再開(6eme, 5emeから)を行う。中学生と教師はマスク着用は義務(市から供給される)。高校の再開については5月末に検討する。

●経済
5月11日以降も最低3週間は、テレワークを続行する。テレワークが不可能な企業は時差勤務することで,交通機関の人の流れを分散するとともに従業員が職場で同時刻に重ることを減らすよう措置をとる。部分的失業措置(一時帰休)は6月1日まで続行。
5月11日以降,レストラン,カフェ,バーを除く店舗は,マスク着用などの衛生対策が取られていれば再開。レストラン,カフェ,バーの再開日については、5月末に決定。
社会的距離の厳守を条件として、全てのマルシェの再開。ただし、県庁もしくは市が感染防止対策を遵守出来ないと判断した場合はマルシェ再開が認められない。4万平方メートルを超えるショッピングセンターの再開については県庁が決定する。
業種毎にコロナ対応マニュアルを作成している。現在33のマニュアルがあり,今後60まで拡大するので参照して欲しい。人と人との距離がとれない場合はマスクを義務付けて欲しい。

●移動
タクシーを含め公共交通機関でのマスク着用義務。地域間の移動を避ける為、TGVを含む電車の運行数は引き続き制限する。
5月11日以降は、自宅から100キロ以内であれば、外出許可書を持参せず移動が出来る。100キロ以上の移動は仕事又は家庭上の理由でやむを得ない場合のみ許可される。

●社会生活
5月11日以降も図書館,小規模な博物館,メディアテックは再開。映画館・劇場・大規模な博物館は引き続き閉館する。感染が多く見られる県では公園の閉鎖を継続。浜辺・海岸へのアクセスも少なくとも6月1日まで不可。
5,000人を超える大型イベントは9月まで開催不可。サッカーの試合等の2019‐2020年度のプロスポーツイベントの中止。密集空間でのスポーツ、集団スポーツ・コンタクトスポーツも不可。公道・プライベートスペースなどでの人の集まりは10名まで。
6月2日まで宗教行事は禁止。急を要する場合を除き,市区村役場は婚姻の延期を引き続き提案する。葬儀は20人まで,墓地や教会などの宗教施設は再開される。
夏バカンスに係る措置は5月末以降に発表。

●コロナ感染者との接触を察知できるスマートフォンアプリStopCovidは,補完的な役割を果たし得るに過ぎず,議論や開発はまだ十分ではない。アプリの導入については、アプリが完成した時点で決定される。