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最近の行事報告

  • リヨン領事事務所活動報告(平成27年4月15日号【第20号】)

     

     在リヨン領事事務所の小林龍一郎です。

     長い間更新が途絶えてしまい、申し訳ございませんでした。1月、2月、3月は、「いぬる、逃げる、去る」と申しまして、不思議なほどあっという間に月日が過ぎ去ってしまい、気が付けばもう4月も半ばになってしまいました。年末年始に2日ほどお休みを取っただけで、昨年11月から、ほぼノンストップで走り続けてきました。忙しくて何より、有り難いことと思っております。
     多忙な時間を繰り返すうちに一つ学んだことがあります。多忙であればあるほど、時間の使い方に効率を求めるようになり、一つ一つの案件の処理速度がアップするということです。その結果、自由な時間が比較的豊富にある場合の自分と比較して、何倍もの濃密な一日を過ごすことができるということです。ただ、疲労をうまく取る前に次の疲労が押し寄せてくるので、どこかで一度解放しないと全体の効率が低下してまいります。
     先般、在リヨンの知人が、小生のどす黒い顔を見るに見かねて、二泊三日の気分転換にフレンチアルプスまで連れ出してくださいました。彼はフランスの企業経営者ですが、冬場は木曜午後から日曜午前まで、アルプスの山小屋で過ごし、インターネットと電話で仕事をし、日中はスキーをして新鮮な空気を吸うということをここ何年も繰り返しているそうです。理論的にはそういうことが心身ともにリフレッシュさせるであろうと理解できるのですが、実際に自分の体が新鮮な空気をこれほど必要としていたのかということは、経験するまで気が付きませんでした。おかげさまで、顔色もよくなって、元気いっぱいリヨンに戻り仕事を再開しております。
     さて、当事務所の活動報告、Facebookで適宜報告申し上げましたが、FBをご利用になられてない方も当然おられますので、関係された方のご苦労も思いながら、改めて落ち着いた気持ちで一つ一つの案件を振り返り、簡潔にご報告申し上げたいと思います。時間は2016年1月25日(月)まで遡ります。

     1月25日(月)は、前日も訪れたグルノーブルを再度訪問させていただき、グルノーブル大学大学群法学部・文学部大学図書館にて行われた、写真展「La Bombe A et l'Humanité」のヴェルニサージュに出席致しました。この写真展は、グルノーブル法学部国際欧州法学学生協会とICAN Youth(核兵器廃絶国際キャンペーン青年支部)の共催で、平和首長会議の協賛により実現しました。広島市長の挨拶に引き続き、挨拶をさせていただき、「唯一の戦争被爆国である日本にとって、広島と長崎の惨禍を、世代と国境を越えて継承することは日本の使命である」、「そして本件展示会は小さな一歩かもしれないが、核兵器のない世界を構築するための確実な一歩である」、と述べさせていただきました。
     広島に送られた折り鶴を再生して作った扇「FANO」を、平和への祈りを込めて両共催者に進呈しました。「FANO」は、深澤幸一郎氏が代表を務める(株)カミーノが製造を行っています。

     

     1月27日(水)は、招待を受けボジョレーにあるChâteau THIVINを訪問しました。シャトー・チヴァンは、ボジョレーの一級品であるコート・ド・ブルイィにあるシャトーです。チヴァンは、ボジョレー・クリュの中でも特に醸造期間が長いので有名です。樽で1~2年寝かした後に出荷するzaccarieという種類は、バニラの香りが漂う大変美味なワインです。
     ボジョレーといいますと、ボジョレーヌーボーが有名ですが、ボジョレーには実に多くの有名シャトーがあります。ボジョレーは、主に赤はガメイ,白はシャルドネで、同じシャルドネを生産するブルゴーニュに負けず劣らず、コスパでは明らかに勝っている白ワインに出会うこともあります。日本にはボジョレーの白は殆ど入ってきませんが、地元では愛飲されています。ボジョレー・クリュ、ボジョレー・ヴィラージュと言われる逸品ワインは、いずれも、限られた条件の中、限られた地域のみ生産し出荷することができます。クリュ・ボジョレーには、サン・タムール (St. Amour)、シェナ (Chenas)、ジュリエナ(Julienas)、シルーブル (Chiroubles)、ブルイィ (Brouilly)、コート・ド・ブルイィ (Cote de Brouilly)、フルリー (Fleurie)、ムーラン・ナ・ヴァン (Moulin a Vent)、モルゴン (Morgon)及びレニエ (Regnie)の10村がございます。
     シャトー・チヴァンのオーナーのジョフレ(Mme Evelyne GEOFFRAY)さんは、小林の10年来の友人で、パリ勤務時代もこのシャトー・チヴァンを求めてボジョレーまで訪ねてきたものです。現在ジョフレさんは、オデナス市長兼ローヌ県議会議員を務めておられます。本年11月にはボジョレーのキャンペーンを東京で行うそうで、そこでは、日本の皆さまもシャトー・チヴァンを味わっていただけるかもしれませんね。

     

     1月28日(木)天皇誕生日レセプションや数々の大型レセプションでお手伝いをしてくださった、戸田百恵さんが、一年のリヨン滞在を経て日本に帰国されました。在リヨン領事事務所は、少数精鋭で頑張っています。無駄な作業を極力排し効率と結果を重視した事務所運営を行っています。それでも、やはり大型行事では人手が必要になってくるわけで、そういったときに、そっと助けの手を差し伸べてくださる方がおられることに、職員一同感謝の気持ちでいっぱいになり、また頑張っていこうという気になります。ももちゃん、京都でおいしいパン屋さんになってくださいね!

                         

     

                          

     1月29日(金)、以前活動報告でも紹介させていただいた、日本の中小企業というか町工場のフランスへの挑戦。(株)由紀精密、(株)DAISHOWそして今回は(株)QULEADの三人の若き経営者がリヨン事務所を訪ねてくださり、今後の日本企業のフランス展開、日本の魅力と実力発信作戦について、意見交換を行いました。上記3社は、茅ヶ崎のクラスター「CmonoC」を形成し、頑張っておられますが、活躍の場をフランス、リヨンに求めるということで、由紀精密さん、DAISHOWさんがそれぞれ、リヨン、サンテチエンヌに拠点を設け、奮闘努力されておられます。特にDAISHOWさんは退路を断って、まさに裸一貫フランス社会に飛び込んでこられました。在リヨン領事事務所のポリシーは、頑張っておられる方をとにかく応援する!です。全力で頑張っている日本企業を、これからも在リヨン領事事務所は「全力で」支援してまいります。

     

     1月30日(土)は、リヨン日本人会の新年会に参加させていただきました。参加するたびに思うのですが、文化の壁を乗り越えて家族の絆を強くされる日仏家族の皆さまのお元気な姿に、どれだけたくさんの勇気を頂くか。妻を愛し夫を愛し家族を愛し、日本を愛しフランスを愛し、そして双方の国を同じだけの強さの愛情と愛郷心を持ち、様々な文化ギャップを乗り越えて一つの家族としてたくましく生活されている姿には勇気づけられます。異文化理解とは何かよく考えますし、よく聞かれます。目の前に異文化をまとった方がいるとします。その人と言葉を交わし議論をし、一緒に食事をし、時には酒を酌み交わし相交わり仲良くなる。そして、その人を理解し、その人を通してその人が纏っている文化を理解できた暁には、目の前の人は、自分と何の違いもない同じ人間だと思えるようになる。これこそが、真の異文化理解なのではないかと、私は思います。

     

     

     1月31日(日)は、江頭副領事にクレルモンフェラン日本人会の新年会に出席してもらいました。クレルモンフェランは、リヨンから1時間45分の距離にあります。数年前まで便利な高速道路がなかったので、サンテチエンヌを経由して3時間以上かかっておりました。リヨン事務所は本官2名のミクロ公館ですので、江頭副領事にも様々な行事への対応の機会が多く回ってきます。まだ若い副領事ですが人前でご挨拶をさせていただくことも多く、それなりの風格が備わってきたような、そんな風に思えるのは、親(先輩)心の贔屓目でしょうか。とにかく頼りになるナイスガイです。

     

     2月2日(火)には、リヨン第一大学図書館が主催する「第7回『科学とマンガ』祭-7ème édition du Festival Science et Manga」のオープニング式典に招待され出席しました。「料理を化学する」というのが今回のテーマですが、来年はロボットがテーマだそうです。鉄人28号や鉄腕アトム、マジンガーZをまじめに分析していくのであろうと思います。来年も盛り上がりそうですね。

     

     2月4日(木)、本年6月16日から22日までを予定している、「エクスレバン日本祭」の会場視察とエクスレバン市長他との協議のため、同市を訪問しました。瀟洒な建物とたくさんのブティックで賑わい、人に優しそうな街の雰囲気、猫の歯と呼ばれる堅牢な峰、美しい湖、何度来てもこの町には癒やされます。今年が第1回となる「エクスレバン日本祭」では、市内日本庭園でオープニング式典を行ないます。この日本庭園は、晩年をエクスレバンで過ごされた小林智彦元EU大使のお庭として今でも市民に親しまれています。イベントの中身は、日本のお祭りを再現した屋台や、蕎麦打ち、日本食セミナー、各種アトリエ、日本映画、日本楽曲の夕べ他たくさんの内容を考えています。皆さんご家族連れでお越し下さいね。

     

     

     2月8日(月)、リヨン国立高等音楽・舞踏学校(コンセルバトワール)を訪問し、校長先生とお話をさせて頂き、校内を見学しました。校長先生とは、今後の協力プロジェクトについて幾つか具体的なご提案を頂戴しました。校内を歩かせて頂くと生徒さんの演奏する楽器の美しい音色が響いていて、世界中から集った、音楽の神様に愛されし天才たちのための空間をしばし味わいました。その後、日本人留学生の皆さんにお集まり頂き領事指導をさせていただきました。皆さん、しっかり夢を抱いていて、将来がとても楽しみです、大きく羽ばたいて下さい!!応援しています!!

     

     2月10日(水)、昨夏以来、久しぶりにシャモニー市を訪れました。シャモニー・富士吉田姉妹都市委員会のシャンタル・ラフマ会長が我が国の外務大臣表彰を受賞されたことから、その授賞式を行うために参りました。副賞には、備前焼作家藤原和氏作の徳利を贈呈致しました。
     ラフマ会長は1989年から実に25年以上もの長きに亘り、日仏自治体交流の牽引役として、文字通り私心を捨てて貢献されてきました。皆様の前で数々の御実績を紹介致しましたが、正に頭が下がる思いであります。彼女の持つ日本への愛情は、日本人の祖国にかける思いと同等かあるいはそれ以上のものがあり、大変有り難く、そして、彼女にいつまでも愛していただける「美しい日本、優しい日本」であってほしいと心底そう思いました。
     授賞式には、フルニエ・シャモニー市長兼オーベルニュ・ローヌアルプ州副知事の他、副市長、市議会議員、多くの友人、そして、3世代いや4世代にわたるジャポニヤール(シャモニーを愛しシャモニーに住む日本人)にお集りいただき、大変盛大にお祝いしていただきました。お忙しい中、お集まりいただき本当に心から感謝と御礼を申し上げます。ラフマさんのご人望がよく理解されました。
     「さつき」のお母様は、一つ一つお箸袋を大切に折り、鶴を表現していただきました。こういう本当にちょっとした心使い、さりげなくひと手間をかけることこそが日本の美しい姿であり、世界に誇るおもてなし文化の神髄であると、感動で胸が一杯になりました。お母様!美しいものを見せて頂きました、ありがとうございました!!

     

     2月10日(水)、小林出張中、江頭副領事はレストラン ポール・ボキューズで開催された、Hervé Fleury ポール・ボキューズ料理学校長へのレジオン・ド・ヌール授与式に出席しました。式典には御年90歳のポール・ボキューズ氏、リヨン市長を始め政財界の要人が出席しました。同学園は食の都リヨンを代表する大料理家ポール・ボキューズ氏が設立した料理・ホテル学校です。多くの著名な料理人を輩出しているだけではなく、ホテルコースを卒業した生徒は、フランス各地方や世界中で給仕の指導者として活躍しています。また、同校には日本人の学生も在籍しており、充実した環境の下、将来有望な学生達とともに日々、切磋琢磨されています。 

     

     2月11日(木)、マイナス7度のシャモニーを出発し、同じオートサボワ県にあるレジェ(Les Gets)を訪問しました。映画監督兼俳優のロジェ・バディムが、レジェを舞台に何本か作品を残しているように、レジェは高級スキーリゾート地であり、雰囲気のとても良い町です。レジェに参った理由は、フランスの伝統的手法でチーズ作りをされている山口さんご夫妻から招待をお受けしたからです。初めてチーズ作りの現場の視察をさせていただき、どのような過程でチーズが出来上がるのか実践を交えつつ丁寧に教えて頂きました。チーズの材料である牛乳は朝に搾乳したもので、殺菌処理をしていない純粋天然の味は美味の一言、牛乳好きには我慢できない至福の一杯でした。
     その後、市役所を訪ね、アンリ・アントニオ市長に御挨拶をさせていただきました。市長には、伝統的なチーズ作りというフランスの伝統文化のいわば継承者として、若き日本人夫妻を受け入れて下さり、また大変温かく見守っていただいている事について、心から感謝を申し上げました。

     

     

     2月17日(水)、リヨンから西方に車で約2時間のクレルモンフェラン市に出張し、大型文化事業「JAPONISSIMO」の一環、当事務所とクレルモンフェラン市の共催で行われる、『合谷哲哉 折紙創作作品展』の開幕式典に出席して参りました。合谷哲哉、麻容子夫妻率いるオーヴェルニュ日本協会(JANA)が全力で取り組む「JAPONISSIMO」が動き出しました。「JAPONISSIMO」は、一人でも多くのフランスの方、オーヴェルニュの方に日本文化の深淵を味わって頂きたいという熱い思いで満ち満ちています。
     JAPONISSIMOが日本の深淵を伝えるように、フランスの深淵、あるいはフランス文化の底流に流れる豊穣さ、おおらかさ、素朴さは、地方にこそ、その根源があるとリヨン在勤を通して改めて肌で実感しています。フランスを理解する上で、パリ勤務中には見えていなかった部分がいかに多かったか最近よく思います。

     

    2月19日(金)、この日はたぶん一生忘れない日になりました。夜からカフェ討論会に出席しました。テーマは、「日本人のアイデンティティ」、この難しいテーマをどのようにすればフランスの方に説明できるのか、散々頭を悩ませつつその日まで付け焼刃をひたすら鍛える日々を繰り返しておりました。昔上司が、「金メッキも剥げなきゃ金だから!」と言われたことを思い出して、その言葉を信じて頑張りました。正直申し上げますが、自分としては、この討論会は今年前半の最大のヤマでございまして、色々と準備をしながらも、なんでこんなの引き受けたんだろうって後悔仕切りでした。頼まれると断れない性格が災いしていると秘書さんに言われますが、生まれついての性分なので、仕方がないですよね。結果的には2時間の討論会は無事に終わりました。原稿のない討論会、日本語ならどれだけ楽だろうかと思いますが、そんなことを言っていても始まりませんので、異文化交流を目一杯楽しもうと腹を括りました。
     私からの説明は、最初に自分が耳にする日本人の一般的な印象を列挙し、次にフランシスコ・ザビエルからポール・クローデルまで日本を訪れた多くの外国人の書物に見られる日本人観を紹介、時代を超えて共通する日本人の特性とりわけ美徳に議論を収斂させようと試みました。結論部分を強化させるために、新渡戸稲造の「武士道」を使わせていただきました。国際連盟事務次長まで務めた真の国際人である新渡戸は、100年前に日本人とは何かを外国人に説明することを痛感し、「武士道」を著しました。新渡戸が抱えた問題意識には至りませんが、今ここで自分も同じテーマで外国人と議論ができることは光栄の極みだと思いました。同時に、日本人の根源にあるものを、誇張せず等身大で、外国の言葉で説明することの困難さと重要性を実際に経験できたことは、今後の自分の仕事にも生きていくと感じました。
     最後に日本人のメンタリティをより深く理解できる材料として、大石内蔵助、細川ガラシャ、三波春夫の辞世の句をその意味と背景を併せ紹介致しました。  
     帰り際、主催者のDrと多くの参加者の方から感謝の言葉が寄せられ、苦労した甲斐があったと達成感のみが込み上げて参りましたが、さながら6か月分のエネルギーを一度に費やしたようで、家に帰ると垂直落下型睡眠でした。

     

     3月2日(水)、当事務所において、平成27年度第3回安全対策連絡協議会を開催いたしました。今回の協議会では、当事務所初の試みとして、当事務所を所轄するヴィルーバンヌ市警察署長及びリヨン2区警察副署長を招き、地域の治安情勢等につき最新の情報を、具体的な犯罪ケースに基づき解説頂きました。同協議会には、日本人学校関係者、在留邦人および、リヨン日本人会の会員のフランス人等約40名に集まっていただきましたが、当地に長期滞在している方々からも「大変有益な情報を得られて良かった」との声を多く頂戴しました。1時間に亘り解説を頂いた警察のお二人、そして同時通訳をしていただいた服部様に、心から感謝致します。               
     警察による臨場感溢れる解説と参加者との質疑応答の後には、同会に飛び入り参加下さったリヨン来訪中のプロギタリスト・横田明紀男様と夫人でバイオリニストの珠代様が、御厚意で演奏をして下さり、緊張した場の雰囲気が和らぎました。横田様、御奥様、本当にありがとうございました。
     リヨン地域で頻発しているスリや空き巣、自転車の盗難等、様々な犯罪に対し、どのような防犯対策をすべきか、アドバイスを頂戴したので、その例をいくつか御紹介し皆様と共有したいと思います。

    ☆☆スリ☆☆
    ★公共交通に乗車中に、スマホ等の貴重品を見せびらかさない。
    犯罪例:イヤホンでスマホから音楽を聴いているときに、人が近づいてきて話しかける
    ⇒イヤホンを外す 
    ⇒その隙に話しかけてきた相手と別の人間がポケットのスマホを盗るが、イヤホンを外しているため、盗まれていることに気が付かない、
    というケースが多発。
    ★メトロ等では出口付近に立たない。⇒出口は犯人が逃走しやすい
    ★必要以上に親切に近寄ってくる人、やたらに体に触れたりして来る人は要注意。
    ★財布に大量の現金を入れておかない。
    犯罪例:スーパー等のレジで支払いをする人の財布に、大量の現金が見えたので、そのまま尾行、スリを行う。
    ⇒確実に現金がある人間の方が、当然狙われやすい。
    ★ATMでは、決まった日・時刻に現金を下ろさない。⇒犯罪者は狙った相手の行動パタンを観察している。
    ★ATMでの引き落としの操作中、他人が話しかけてきた時は、怪しいと思い、すぐに操作をキャンセルしてカードを取り出し、その場を離れ、必要な場合は、別のATMで操作を行うこと。
    ★銀行が閉まっている週末をわざと狙った犯罪も多いので、週末にカードをストップさせる緊急連絡先を控えておくとベター。
    ★現在の公共駐車場(パーキング)のクレジットカード読み取り機械は、絶対にカードを吸い込まないようになっているので、万一出てこなかった場合は、盗難にあったと理解し、すぐにカードをストップさせる。             

    ☆☆空き巣☆☆
    ★家のスペアキーは、ドアマットの下などに隠さない。必要な場合は、知人や管理人等、信頼できる人に預ける。
    ★地上階の住居は、窓に鉄格子などをつけると良い。
    ★長期不在中の住居が狙われやすい
    ⇒「中に住人がいる」と思わせることが大切。
    ⇒不在中、郵便物が郵便受けに溜まらないよう、知人や管理人に回収を頼む。「STOP PUB」のシールも、郵便受けがいっぱいになるのを防ぐのには有効。
    ⇒FACEBOOK等で、長期不在を告知したり、旅行先の写真を掲載しない。
    ⇒一軒家の場合は、裏側はしっかり閉める、表側は玄関の施錠はするが、できれば雨戸は締め切らず、タイマー式の電気が点いたり消えたりするようにする等、人がいる気配を見せることが有効。
    ⇒警察に、Opération Tranquillité Vacancesというサービスがある。警察にこのサービスを申し込んでおくと、定期的に警官が巡回してくれるというサービスだが、このサービスは長期休暇中だけでなく年中有効。www.prefecturedepolice.interieur.gouv.fr
    ★空き巣の46%以上が玄関から侵入。
    ⇒錠を複数付ける等、開けにくいドアにすることや、ドアを抉じ開けられた時に狙われやすい入口付近に貴重品や車のキーを置かないようにすること。
    ★警察官や消防士、ガスの点検など、身分を装って侵入しようとする人物に注意。特に、18時以降のこの類の来訪は、ほぼ100%犯罪者と思って良い。

    ☆☆自転車の盗難☆☆
    ★フランスの自転車の登録制度:Bicycode。Bicycode.org
    ⇒登録しておくと、警察が盗難された自転車を探してくれる。

    ☆☆万一、スリやひったくり等の被害に遭ってしまった場合☆☆
    ★犯人を特定する
    ⇒身体的特徴、持ち物、服装など。上着と違い、靴下や靴はとっさに履き替えられないので、特徴のある靴下等の柄・色なども、その後の犯人逮捕への重要な参考情報になる。

     

     3月12日(土)、3月9日からリヨン現代美術館で開催されている「オノヨーコ展」に行ってまいりました。オープニングではオノヨーコさんが出席される予定だったのですが、体調の関係でリヨンには5月にお越しになるとか。今回初めて拝見させていただき、非日常体験というか、色々と感じることができました。参加型アートとならではの自分がアートの主役になれるという意識が随所にあって大変面白かったです。その中で、強いテーマとしてあるのが、人間の持つ残虐さ、戦争の中での狂気、それに対峙する人間の穏やかさ、静謐、これらのコントラストが浮き彫りにされて、生きていること自体がアートなんだという気がいたしました。単なる反戦じゃない、人間存在の深いところに手を入れているそんな気がしました。展覧会はオノさんのアートの歴史が再現されており、オノヨーコさんのアーティストとしての背骨がそれらを貫いていることを意識できます。

     

     3月12日(土)、リヨン近郊カリュイール市で行われたローヌ県少年少女柔道大会に来賓として出席してまいりました。
     ローヌ県加盟の柔道クラブの10歳以下の子供たち約500名が一堂に会し、大変楽しく賑やかに取り行われていました。10歳以下の部では、柔道大会といっても、立ち技の試合はせず、寝技での攻防戦になります。大会運営の方とお話ししましたら、小学生児童は体格差があるので、ほぼ同じ体重の子が楽しく練習できるように対戦相手を工夫しているとのこと。柔道は加納治五郎が明治の時代における教育プログラムとして発展してきました。勝ち負けは二の次というわけではなく、強くなければ人を守れませんから、勝負はやはり大事です。武道を通じて、心身ともに強くたくましく子供たちが育っていってほしいと思いました。外国の子供たちがきちんと「礼」をして、正座をしている姿に、日本武道ここにあり!という気がいたしました。
     大会運営の様子は、他のフランスのスポーツと異なり実に整然と行われており感心しました。昨年暮れに日本から柔道の先生がお越しになり、そこでフランス人を前に挨拶されている様子が今でも忘れられません。私は、「柔道は日本の武道であって日本の心であるから、単なるスポーツと思わないで道を追ってほしい」と述べましたが、その先生は、「自分は日本から来て、日本のいいところをあなた方に教えようとだけは思っていません。むしろ、自分があなた方から学んで帰ろうと思っている」、とおっしゃいました。どちらがフランスのお弟子さんの心をとらえたでしょうか。フランスでこれだけ盛んになった柔道、何か特別な秘密があるのではないか、そういう風に私も考えるようになりました。

     

     3月13日(日)、ローヌアルプ柔道リーグの柔道家19名が、日本に合宿旅行に行かれるということで、当事務所は、日本滞在にかかる諸注意と日本の見どころについて、説明会を開催しました。  
     まず、穴見職員から、日本滞在中ほぼ毎日口にするであろう日本食の秘密を解説、うま味について、昆布や魚に含まれるうま味成分をいかに日本人が料理に応用してきているかについて、例を用いてわかりやすく説明しました。次に小林から、日本滞在中の諸注意ということで、外国人旅行者が誤解しやすいポイント、例えば家の中で靴を脱いでスリッパを出されることが多いが、畳の間ではスリッパを脱ぐのが礼儀であることや、トイレには専用のスリッパがあるので間違えて履いて出ないように気を付けることなど、数々の例を用いて説明しました。
     その後、穴見職員による味噌汁の実演・試食会を行いました。寸胴に用意した味噌汁はあっという間になくなりました。

     

     3月14日(月)、大型日本紹介企画「JAPONISSIMO」の一環で、シャマリエール・ホテル・レストラン・観光専門高等学校をお借りして、在リヨン領事事務所主催石垣牛の講演会及び試食会を行いました。講演は、石垣島で「ゆいまーる牧場」を営んでおられる和牛生産者の金城利憲氏が行い、オーヴェルニュ地方で活躍されている畜産農家や食肉店のオーナー、レストランのシェフ、仏国立農学研究所、料理学校の生徒など、食と食肉の専門家およそ150人が参加、質疑応答では原産地呼称や飼育方法に関する専門的な質問がなされ、プロ同士の議論が活発に繰り広げられるなど、同地方の和牛への関心の高さが伺われました。
     また、地元新聞「La Montagne」やテレビ局「France3」の反響は高く、会の様子のテレビ放映や新聞記事で豊富に取り上げられ、日本文化、日本農産業の大変よい広報の機会となりました。なお、試食会冒頭には、JAPONISSIMOのコーディネータを務めておられるJANAの合谷哲哉氏によるアコーディオン演奏も披露され、会場は素敵な音色と和牛のおいしい香りで満たされました。

     

     3月16日(水)、金城利憲氏一行と共に、アン県にあるカマクレ農場を訪れました。同農場経営者のフィリップ・プレヴォ氏はフランスにおける数少ないWAGYU生産者で、フランスでの和牛の普及に情熱的に取り組んでおられます。プレヴォ氏は、もともとは研究者で、畜産の世界に触れるうちにのめりこみ、牧場を持つまでになったとか。金城氏一行とプレヴォ氏の間では、似て非なる和牛とWAGYUそれぞれの特徴や飼育方法の違い、フランスにおける和牛(WAGYU)の評価と今後の可能性、また、海外での和牛飼育の可能性について、専門的な意見交換が熱く行われました。こっそり申し上げますと、小生(コバヤシ)は、午年なのですが、馬アレルギーでして、この後、くしゃみが止まらず、半日ほど大変でした。だから触っちゃいけないのですが、動物が好きなもので、つい触ってしまい毎回顔がパンパンに腫れるのです。

     

     

     3月17日(水)、クレルモンフェラン市において、領事出張サービスを開催致しました。今回は、ブレーズ・パスカル大学の准教でもある、ピュイドドームいちご会・古賀会長のお力添えで、同大学キャンパス会議室で実施致しました。領事出張サービスでは、旅券の発給や、各種証明の申請受付、また同地域在住の日本人子女の皆さんへの教科書の受け渡し等の領事手続きを行いました。その後、クレルモンフェランに留学されている日本人大学生や院生の皆さん、及び、いちご会の皆様方と、意見交換会を行いました。

     

     3月17日(木)、在リヨン領事事務所とヴィルフランシュ・シュール・ソーヌ市は、日本の魅力発信イベント「石垣和牛とボジョレーワインのコラボレーション」を開催致しました。ペリューヴィルフランシュ・シュール・ソーヌ市長兼国民議会議員、ミシュラン星付きレストランシェフ、その他食業界関係者、地元ボジョレーワイン関係者を中心とする招待客は、金城利憲さんによる絶妙な焼き加減の石垣牛に、一様に舌鼓を打っていました。地元コンセルバトワールの生徒15名によるクラシック音楽のコンサートと、セラム由香さんによる三味線演奏の日仏文化コラボレーションが華を添え、フランスにおける和牛紹介事業を締めくくるに相応しい一夜となりました。
     当日小林は、由緒あるボジョレーワイン振興会l’Ordre des Compagnons du Beaujolaisの新会員として迎えられました。ポール・フリション会長以下名士が参列する中、おごそかな宣誓式が行われ、日本とボジョレーの更なる関係強化のために一層尽力することを皆様の前で誓いました。
     ここで改めて金城利憲さんを御紹介します。金城さんは長年大阪で食肉卸小売店と焼肉レストラン業を勤めた後、故郷石垣の地域興しのために和牛の生産をするべく、農業生産法人有限会社ゆいまーる牧場を立ち上げられました。以来、ユニークな飼育方法(米を中心とした飼料でメス牛のみ長期飼育(33ヶ月~40ヶ月))で石垣牛を日本のみならず世界中へ広めるため日夜健闘されています。
     「和牛と魚の共通点は?」
     答えは、「和牛は、魚と同じ不飽和脂肪酸を、60%以上含んでいること。」和牛に含まれている不飽和脂肪酸(エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸)は、コレステロールを防ぎ、認知症予防にも効果があると言われており、高齢化社会の救世主ともみなされています。和牛を食べれば、おいしさと満足感だけでなく健康まで手に入るという、まさに旨い話ではありませんか。
     金城さんの石垣牛が世界に知られることとなったきっかけは2000年の沖縄サミット。金城さんは外務省に飛び込み、歓迎晩餐会に是非地元沖縄の食材使用を、と熱く提案しました。当時、沖縄サミット推進事務局長を務めた山田文比古氏(現・東京外国語大学教授)の尽力で石垣和牛が沖縄サミットで大成功し、各国首脳から高い評価を得ました。なお、山田文比古氏は、小林が二度に亘りお仕えした上司で、ここでも不思議な縁を感じました。サミットから十数年が経ちましたが、フランスという新たな活躍の舞台を得て、石垣和牛を広く紹介し、ひいては、日仏の農業・食産業交流へ貢献するべく、頑張っておられる金城氏の姿に、感銘を受けました。

       

     

     3月18日(金)、東北大学とINSAとECOLE CENTRALE de LYONの共同研究プロジェクトの一環で開催されていた短期留学プログラム:『Discover Lyon』に参加した東北大学学生の送別会に招かれ、学生の皆さんへ労いとお別れの言葉を述べました。
     文系理系学年性別を問わず同プラグラムに参加した19人の東北大学の学生さん達は、2週間という短い滞在期間ではありましたが、INSAにおけるフランス語の語学研修や、ECOLE CENTRALE de LYON他、リヨン大学群のグランゼコールにおける学生間交流等を通して、貴重な国際体験をなさったようです。同セレモニーでは、ECOLE CENTRALE de LYON・Debouck学長より、学生の皆さんにプログラム修了証が授与されました。7日(月)に行った歓迎レセプションからわずか2週間で、皆さん随分成長されたようなそんな気がいたしました。
     東北大学の皆さん、2週間お疲れ様でした。是非次回は、長期の学術交流の為に、戻って来て下さいね。

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    在リヨン領事事務所の活動とは少し異なるお話をさせていただきます。3月21日から4月5日まで用務帰国をし、本省で勤務をしておりました。注目の伊勢志摩サミット!ではなく、8月下旬にケニアで予定されている、TICAD第6回首脳会合の準備のためです。TICADは、1993年に日本が他の国に先駆けてスタートしたアフリカ開発にかかるマルチのフォーラムであり、既に5回を日本国内(1~3回を東京、4,5回を横浜)で実施、第6回をアフリカの強い希望でアフリカ大陸で初めて実施することになりました。ケニアで行う第6回TICAD、日本が抱えるマルチフォーラムでは最大級の会議であり、また日本の対アフリカ外交の中心軸ですので、全省的に本会議の成功に向けて知力を決する必要がある中、アフリカ勤務経験者として小官にも白羽の矢が立ったものです。今後、4月下旬から6月上旬まで、そして本番を迎える7,8月とリヨンを離れることが多くなってくると思います。小林としましては、外交の一大事であるこの大型案件をなんとしても成功にも導きたく、管内の邦人の皆さまには極力ご迷惑をおかけしないようにと心得ておりますが、ご理解いただければ幸甚です。

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    小官不在中、留守番役の江頭海咲副領事も精力的かつ地道に草の根外交を展開しています。    
     3月24日(木)には,カリュイール・エ・キュイール市に所在する私立オンブローザ国際学園にて対日理解促進のための授業を行いました。    
     同学園では通常の授業は英語で行われ,生徒は第二外国語として,日本語,ドイツ語,スペイン語,中国語より一言語を選択します。1人でも多くの生徒が日本語を選び,将来,日仏交流の架け橋となって活躍して欲しい。という強い願いのもと,45分間の授業を計4回行いました。この96人の生徒の内,何名が日本語を選択するのか,期待と不安を持って5月の結果発表を待ちたいと思います。

      

     

    3月25日(金)には,クレルモンフェラン市に所在するオラドゥ中学にて対日理解促進のための授業を行いました。      
     同校では既に折り紙や日本語の授業も行われており,校長先生を始め教員,生徒の皆様も大変親日的で温かい雰囲気の中,計50名の生徒へ授業を行うことができました。      
     授業の後,生徒によるジブリ作品の合唱会,記念カクテルパーティーではお寿司やどら焼きなどもふるまわれ,逆サプライズの連続に感動いたしました。関係者の皆様どうもありがとうございました。

                            

     

     4月4日(月)には、江頭副領事はリヨン第3大学(Université Lyon 3 Jean Moulin)で開催された「カメレオン賞(Prix Caméléon)」の授与式に出席、スピーチを行いました。カメレオン賞は、優れた外国文学の著者及び翻訳者に贈られるもので、本年度は作家・江國香織氏の「神様のボート(Dans la Barque de Dieu)」、同書の翻訳者であるパトリック・オノレ氏(Patrick Honnoré )が受賞されました。江國さんも喜びの表情でした。

     

     4月7日(木)は、江頭副領事はリヨン・ジェルラン国際学園日本語科、中・高等部の学習発表会に出席しました。6学年の生徒さん達の日頃の勉強の成果はそれぞれ素晴らしく、大勢の保護者の方に見守れ、最後はさわやかな校歌の合唱で会場が感動に包まれました。

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     東京での在リヨン領事事務所関連行事について一点報告申し上げますと、去る3月2日に当事務所を訪ねてこられた、NPO法人日本二胡振興会会長であり、在日28年の親日家である武楽群氏と東京で再会しました。中国音楽家協会二胡学会理事や中国古琴専業委員会理事も務める武氏は、日本内外で日中文化交流の観点からコンサートを主催し、プロデュースそして自ら演奏も行い、交流促進に努めておられます。4月2日(土)に中国の二胡奏者第一人者の瀋陽音楽学院の趙奪良先生ご夫妻他、日中の多くの二胡演奏者による演奏会があり、招待され行ってまいりました。美しい二胡の音色に魅了された二時間でした。武先生とは固く握手を交わし、リヨンでの再会を約束しました。

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     4月8日(金)、辻調グループフランス校のレクレール校及びエスコフィエ校を訪問し、前日フランスに到着したばかりの生徒さん計106名に対して、領事・治安指導を行いました。参加された生徒さん達は、これから過ごすフランスでの生活に当たっての注意点、防犯対策などについて、時差ボケによる睡魔にも負けず真剣に聞き入っておられました。皆さんのフランスでの学生生活が安全で実りの多きものとなりますようにお祈りするとともに、フランスは素敵な国なので、よい思い出だけ作って日本に帰ってほしいと思いました。

     

     4月11日(月)には、在リヨン領事事務所が企画する、「邦人アーティスト応援プロジェクト」の一環で、「篠田美有絵画展」のヴェルニサージュが、当事務所ホールで行われました。小林からは、篠田さんの積極的な活動がリヨンの邦人コミュニティの活性化にどれほど貢献されているかについて述べるとともに、同人のこれからのアーティストとしての活躍に応援の言葉をお送りいたしました。ヴェルニサージュには、篠田さんのご友人を中心に30名を超える方が集まられ、最後まで楽しい時間をお過ごしになられました。
     また、所長から、「レオクマック理佐子手作りアクセサリー展」について紹介申し上げ、出席者の皆さまも、大変精巧で日本美にあふれる作品の数々を堪能しておられました。

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  • リヨン領事事務所活動報告(平成27年1月25日号【第19号】)

     

     在リヨン領事事務所の小林龍一郎です。

     2016年になりました。本年も何卒宜しくお願い申し上げます。
     今年は暖冬で、リヨンの新年も例年よりは気温が高いようです。フレンチアルプスのスキー場では雪不足でスキー宿は困っておられるところも多いとか。その後たっぷり雪に恵まれたようですけど。リヨンの元日はあいにくの曇り空で、新年の御来光は拝めることもないと思い、朝早くソーヌ川を散歩するにとどめました。実は、大晦日も出勤で、元日こそお休みを頂戴しましたが、4日の仕事始めまで年末の慌しさを引きずる有様で、昨年一年間の疲労を取り払う余裕も術もなく、連続する時間のほんの幾片の自分の時間を手に入れただけでした。それでも、管内で邦人が巻き込まれるような大事件がなかっただけでも、幸せに思うべきでありましょう。

     一年の始まりは元日にあり、一日の始まりは朝にある。ということで、正月二日は真っ暗な中、早起きをしてここ数年恒例としている、新年の書初めを行いました。姿勢を正し、小一時間かけて墨を練り墨汁を作り、その間何度も書きたい言葉を反芻させます。今年認めましたのは、「将必先己」という四字。「将、必ず己を先にす」、と読みます。中国古代の兵法書「尉繚子(うつりょうし)」から取りました。近代組織論では、上司は「する」より「させる」のが仕事、と習うことがありますが、中国の古代思想では、指導者自らが動くことが美徳であるとして、リーダーのストイシズムを試します。戦国時代の一騎駆けの美学は、この思想の影響下にあるのかもしれません。私の場合はもっと単純で、自分でできることは自分でやって、忙しいスタッフの手を徒に煩わせないようにしようとその程度でありますが、簡単で難しいことを新年に誓いました。

     さて、手前のお話はこのくらいにして活動報告に入らせていただきます。本年も簡単な報告を可能な限り翌日迄にFACEBOOKに、所感を含めた詳細な報告を、月に2回を目標にホームページに、書き下ろして参ります。在リヨン領事事務所の奮闘ぶりを御覧いただき、当事務所を皆様の身近に置いて頂けると共に、叱咤激励を頂戴できれば、小官のみならずスタッフ全員にとりまして元気の素でございます。

     1月4日(月)は、仕事始めの館内会議を行いました。仕事始めでは、小官から今年の大まかな年間計画と業務方針を共有し、昨年一年間頑張って作った良い流れを止めず、2016年も引き続き、小粒でもピリリと辛い山椒のような切れ味の良い外交と確実な行政サービスを実施していこうと誓いを新たにしました。
     1月は、フランスでは多くの組織で、新年の挨拶(cérémonie des vœux)がございます。一年間、とにかく激しく動き回りましたので、当事務所は嬉しいことに多方面から招待状を頂きます。他方、体は一つしかございませんので、原則として直接的な知り合い、お世話になった方、我が方の天皇誕生日祝賀レセプションに出席して頂いた方のセレモニーに限定して出ることにしております。年始から出席したセレモニーは、4日(月)コロン・リヨン市長兼上院議員、5日(火)リヨン第2区長とリヨン第6区長、6日(水)ヴィルフランシュ・シュール・ソーヌ市長兼国民議会議員、7日(木)ローヌ県知事、14日(木)リヨン第4区長とヴィルバンヌ市長、19日(火)ドニャン=ソージュ・リヨン・首都圏副議長、ヴォキエ・ル・ピュイ・エン・ブレ市長兼オーベルニュ・ローヌ=アルプ州知事、21日(木)アバド・アン県議会議長兼国民議会議員、そして、23日(土)ギヨトー・ローヌ県議会議長兼国民議会議員と、11件のセレモニーに出席させていただきました。
     ペリュ・ヴィルフランシュ・シュール・ソーヌ市長、アバド・アン県議会議長、ヴォキエ・オーベルニュ・ローヌ=アルプ州知事、そしてギヨトー・ローヌ県議会議長のセレモニーでは、「日本の領事がわざわざ出席してくれたことに心から感謝する、大きな拍手を!」とか「日本の領事が初めてこうして出席してくれたことに感激した、心から賞賛したい!」とか「日本は素晴らしい魅力あふれる国で、その国の代表を迎えることは今年一年の最初の喜びである!」とか、何百人もの地元市民の前で、わざわざ言及して下さり、大変な歓迎ぶりでこちらの方が感動しました。誠に外交官冥利に尽きます。

                                                

    (左:コロン市長の新年会でのVœux)
    (右:リヨン六区の新年会で挨拶するケペネキアン・リヨン市文化担当助役)

    (左:ヴォキエ市長兼オーベルニュ・ローヌ=アルプ州知事のVœux)
    (右:アバド・アン県議会議長のVoeux、ヴォキエ州知事も来賓で来られておりました)

    (左:ヴィルフランシュ・シュール・ソーヌ市の新年会、市長はペリュ議員)
    (右:ギヨトー・ローヌ県議会議長の新年会、500人を超える大人数でした)

     1月7日(木)は、リヨン西方、車で1時間半の位置にある、ロワール県サヴィニュー市(Savigneux)のクリストフ・ブルトン(Christophe Bretton)市長の招待で同市を訪ねました。ブルトン市長は、隣町のモンブリゾンで行う日本文化紹介行事(マンガ・コスプレ・ジャポン)の場でお会いして以来、天皇誕生日祝賀レセプションにも毎回出席頂くなど、大変日本を大切にしておられる市長です。サヴィニュー市は人口3400人余りの比較的小さな町ですが、三菱重工の海外グループ会社であるプリメタル・テクノロジー・フランスという日系企業があります。従業員約400名の巨大金属加工工場で、約100年前に仏企業が工場を開設し、これまで他の欧州企業に譲渡されるなどしましたが、数年前に三菱重工の資本傘下に入ったとのこと。サヴィニュー市長の説明では、サヴィニューの主要産業は農業で競馬調教施設とゴルフ場がある他は何もない。このプリメタルがサヴィニュー市民の約180名の生活を支えているとのことで、日本に大変感謝していると述べておられました。今回小官を招待したのは、プリメタル社で働く従業員の方々に勤続功労賞を授与する式典があり、日本領事のプレゼンスを得たいという御要望からでした。プリメタル社の幹部と一緒に、勤続20年、30年、40年と順番に功労賞をお渡ししていくのですが、お一人お一人のお顔が大変いい顔をされており、晴れがましく、同時に会社に対する愛情、そして自分の仕事に対する誇り、といったものを感じて、素晴らしい人たちだなあ、こういう方々がフランス経済を支えておられるのだと思い、私も大変感激いたしました。プリメタル社は、本年4月から日本人の方が社長として就任されるということで、ロワールの緑の大地には、日の丸が新社長のお越しを待っているかのごとく、はためいておりました。

    (左:サヴィニュー市のブルトン市長と小官と同じ年です)
    (右:プリメタル社の正面には日の丸がはためいていました)

    (左:工場の様子)
    (右:勤続功労賞を受賞された皆様と)

     1月13日(水)は、クレルモンフェランを訪ね種々用事を済ませました。最初に、クレルモンフェランで邦人コミュニティのお世話をしておられるいちご会(日本人会)の古賀会長及び日本人補習校(認定申請中)の楠校長と一緒に、2016年の行事計画について意見交換をさせていただきました。いちご会は一期一会をモットーに、櫻井佐友里さんがクレルモンフェランにお作りになった協会で、古賀さんが二代目の会長です。
     クレルモンフェランはミシュランの街で知られていますが、大学間等の学術交流も盛んで、日本からは、熊本大学、お茶の水女子大の学生が地質学、哲学の研究で訪れ、海洋技術研究センターとマグマ火山研究所の共同プロジェクトも検討中であるとか。帯広畜産大学や広島大学とも今後交流が拡大されていく可能性があるそうです。
     日本で本稿をお読みになられている方は、クレルモンフェランってどういう印象をお持ちでしょうか。クレルモンフェランは哲学者パスカルを産んだ文化都市であり、ミシュランで有名な産業都市、さらにはカエサルを破ったガリア人の街であり、火山の街、様々な顔を見せる魅力溢れる街です。クレルモン=フェランを代表する建物は、黒いノートルダムと言われるノートルダム大聖堂であります。ゴシック様式のその堂々たる様子は、パリのノートルダムとはまたひと味違う大変魅力あふれる教会です。ステンドグラスも素晴らしく、是非一度お訪ねいただきたいです。その際には、ピュイドドーム山にも足を運ばれたく、一般車の排気ガス公害を避けるべく2012年に開通した登山電車で、約30分で山頂まで登れます。途中ヴォルヴィックのラベルに描かれている山を見つけられるでしょう。また、少し北上すれば、水のシャンペンと言われるシャテルドンを生産するシャテルドン村にも参れます。この辺りは極上水の産地です。
     その後、合谷夫妻率いるJANA(Japon Auvergne Nippon Auvergne)と、2月、3月にオーベルニュ州で企画する大型日本文化紹介プロジェクト「JAPONISSIMO」について意見交換を行い、JANAにも協力を頂いている、オーベルニュにおける和牛紹介セミナーの打合せに、オーベルニュ州畜産協同組合とシャマリエール公立料理高等学校を訪ねました。そこでは、3月14日に予定している石垣牛紹介イベントについて関係者間会議と会場下見を行いました。オーベルニュ地方で有名なのはシャロレ牛という種類の牛ですが、近年和牛の評判も浸透してきており、日EU間での自由貿易協定をにらんで、和牛に対する関心は非常に高いとのことでした。攻めの農業を実践する石垣牛の金城利憲氏、農業畜産地帯であるここオーベルニュで行う講演会兼試食会は大変な評判を呼ぶに違いありません。私は、今後日仏のWIN-WINの農業協力に繋がっていくことを祈っています。

    (左:いちご会古賀会長と)(右:黒いノートルダム)

    (左:ノートルダムの美しいステンドグラス)
    (右:料理学校の壁には有名シェフのサインが、ミッシェル・トロワグロがありますね)

    (左:和牛紹介セミナーの第一回打合せです。雰囲気がいいのできっとうまく行きます)
    (右:ここで和牛講演会を行って頂きます。ロジをやっていた頃の勘が戻ってきます)

     1月14日(木)リヨン2区のギャラリー28で行われた、備前焼陶芸家・藤原和個展のベルニサージュに出席し挨拶を行いました。挨拶の中で、藤原氏から頂戴したメッセージを紹介し、備前焼を火と土の芸術としてその魅力を伝えました。備前焼は岡山県備前市を発祥とする陶芸で我が国を代表するひとつ、実に1300年の歴史を湛えます。来場されたお客様からは、藤原作品の数々に感嘆の声があがりました。また、今回はフランス人盆栽家ブリュノ・ヘレー(Monsieur Bruno HELLER)氏の作品とのコラボも行われ、ギャラリーは日本の雰囲気に包まれておりました。
    同郷の好で藤原和先生にお話を伺う機会もままあります。焼き物の面白さを説明頂いたときには、それは時には窯変であり、時には土との出会いであると。そして、「備前は使ってナンボだから、こけたら繋いであげるから」、という言葉には、一人一人の一回一回の食を豊かに、酒を豊かに、生活を豊かに拡げることが作陶家のもう一つの喜びであり、他者と共に生を共有する醍醐味を味わうのだなと思いました。
     備前焼には食い物が似合います。以前撮影した写真も何枚か御紹介します。

    (藤原和先生の作品もはるばる海を渡ってきました。海と言っても瀬戸内海ではありません。写真提供:©Miho MATSUMOTO)

    (左:ギャラリー28のオーナー、ボナバンチュールさんと。写真提供:©Miho MATSUMOTO)
    (右:挨拶では、藤原和先生からのメッセージもお伝えしました。)

    (左:ギャラリーに来て頂いた、左からムットさん、小林、ペローさん、柏木さん)
    (右:備前は食べ物とのコラボが一番映えます。このスイカ、美味しそうです。)

    (左:瀬戸内海のガザミ(ワタリガニ)と。)
    (右:おいしそうなオニギリと。お皿は人間国宝藤原雄の作品です。)

    (左:これが備前の登り釜、何週間もかけて固く焼しめていきます)
    (右:藤原和先生御夫妻と(2015年夏))

                                               

     1月17日(日)12:30から、リヨン市内ホテルで、在リヨン領事事務所主催、平成28年新年賀詞交換会を大変賑々しく開催致しました。リヨン事務所管内のオーベルニュ・ローヌ=アルプ州で活躍される企業人、日仏協会、日本人学校、そしてこれまで日本人の活動を支えて来られた重鎮方、日本人会の皆様を中心に、日本人の活動を支えるに中核となる100名の皆様にお集まり頂きました。また来賓として、パリから、在仏日本商工会議所中江剛介会頭(三菱商事)、成田兵衛副会頭(VIZ MEDIA EUROPE)、青柳一郎副会頭(富士通テクノロジー)、神宮寺勇副会頭(JAL)、山田裕隆事務局長にお越し頂き、リヨン管内の多くの企業関係者と懇談頂きました。また、JETROパリの大西麻紀子職員、日本から御出張中のT&Tジャパンの二瓶徹社長にも参加頂くことができ、大変盛大な会となりました。                      
     大変お忙しい皆様においで頂き本当に嬉しく思いました。リヨン事務所として初めての賀詞交換会であり、成功しなかったらどうしようと内心案じておりましたが、皆様のお蔭で無事に終えることができました。皆様の中には、既に入っていた予定を曲げておいで頂いた方や、日曜日でありますから御家族の御理解を得ておいで頂いた方も多くおられたとお聞きしております。この場をお借りして、心から感謝申し上げます。そして、皆様のために頑張って行こうと、我々職員一同心を新たに致しました。                      
     米山悦夫会長の御挨拶にございました、今日という日は二度とない一日であり、かけがえのない瞬間である、なるほどその通りであると改めて思いました。この一日を大切にしていきたい、正に日々是好日であろうと思います。そして、中江会頭の仰る通り、本年は様々なことが起こる一年であるがゆえに、しっかりと皆で心を一つにして、このフランスという地で共に生きる御縁を大切にしていきたいと思います。締めの挨拶を頂いた高橋伴和JTEKT社長は、この新年会のために日程を変えて、昨日日本からお戻りになったそうです。こういう一つ一つの真心を大切にして、我々一同も、「まこと」の心を持って、皆様が安寧の下にこの素晴らしいフランスという国で御活躍頂けるように、日々、黙々と、只仕事に打ち込んで参ろうと思っております。                      
     今回やむを得ず欠席となった方におかれましても、定例行事として、来年も年明け一月に賀詞交換会を開催致しますところ、宜しく御出席の程お願い申し上げます。                      
     在リヨン領事事務所の管轄地域は、オーベルニュ・ローヌ=アルプ州になります。ここには、20を超えるクラスター、競争力拠点のある産官学の研究拠点、フランスで二番目にGDPを稼ぎ出し仏経済の鍵を握る地域、GDP/Cベースで、欧州6位とも言われています。問題となっている失業率もフランス全土で最も低く、そしてリヨンは昨年フランス人が選ぶ最も住みやすい街に選ばれました。邦人数、日系企業数共に、2003年以来増加の一途で、2015年末の調査では、邦人数3473名、日系企業数は個人事業主も含めて155社を数えます。この巨大地域を担当させていただいているのは、在リヨン領事事務所の本官2名、現地職員5名という世界最小在外施設となっています。                      
     当然ながら我々だけでは何もすることはできません。皆様のお力が必要です。どうか、我ら在リヨン領事事務所を皆様のものだと思って、昨年に引き続き、御支援、御鞭撻を宜しくお願い申し上げる次第です。我々所員一同、連日連夜の残業に耐え、週末も犠牲にして日本の為、在留邦人のために、文字通り私心を捨てて働いております。                      
    【新年賀詞交換会の写真は全て著作権がございます。©Miho MATSUMOTO】                      

    (右:小林の挨拶、今年の目標を述べました)
    (左:米山日本人会会長の御挨拶、日々是好日は小林の座右の銘です。)

     

    (左:中江在仏日本商工会会頭の御挨拶、グローバルな視点からのお話に感動しました)
    (右:これまで日本人社会を牽引していただいた山口事務局長、前会長です)

    (左:鏡割りは、正月だなあ、めでたいなあという気持ちになる不思議な行事です。)
    (右:それで、大抵は勢いが良すぎてこうなります。2016年も気合全開で!)

    (左:マス酒は酒の味を一番おいしく引き立てます。当ては塩で十分。)
    (右:ということで、新年会が始まりました。皆さん本当に楽しんでいただけました)

    (左:お料理は、UTAKOさんの作品、とっても美味しかったです。)
    (右:Fromagerie Tête d'orのチーズの盛り合わせ、超リヨンです!)

    (左:中江会頭(中)とクレルモンフェラン日本人会の皆様、右から江東靖志さん、楠ともかさん、古賀ケネスさんと)
    (右:商工会の幹部(左から成田副会頭(VIZ MEDIA EUROPE)、山田事務局長、青柳副会頭(富士通テクノロジー))

    (左:ご歓談中の皆様、JALの神宮寺支店長(中央)もパリからおいで頂きました)
    (右:左から西川由里子先生、小林、山口剛一先生、栗林佳代先生)

    (左:皆さん楽しそうです。ザンデル先生のレシピは小林家の定番料理になってます。)
    (右:今回、和食を用意してくれたUTAKOさんとFLAIRの渡辺さん。)

    (左:今回ボランティアで写真撮影をして下さった写真家松本美穂さん)
    (右:お雑煮は大変な人気で皆さん喜んで食べておられました。餅は元気が出ますね)

    (左:JTEKTの高橋社長に締めの言葉を、含蓄に富む素晴らしいスピーチでした。)
    (右:新年会は準備期間が天皇誕生日レセと重なるので本当に準備が大変でした。)

    (こんなに多くの方にお集まりいただき、心から感謝致します。来年は、在仏大の形に倣い、邦人は天皇誕生日レセではなく、新年会にお呼びするような形を考えております。)

     

    (在リヨン領事事務所のスタッフ。西村パスカルさんがいませんが、これだけの数であれだけ多くの事務をこなしています。スーパーマン、スーパーウーマンの皆様で、私小林は、赴任、応援出張で、これまで多くの大使館、領事館を見て参りましたが、在リヨン事務所は、掛け値なしで、世界最強の現地職員軍団だと確信しています。左からJean-Charles Reynaud職員、江頭海咲副領事、江口敦子職員、平野道子臨時職員、今川美生職員、小林、小林夫人、穴見千穂職員)

     

     1月23日(土)、リヨン市内第三区にありますMaison du Judoで行われたローヌ=アルプ州柔道連盟の鏡開式に出席して参りました。
     挨拶では、明治維新になり、武士道が武道に変化し、それが青少年の人間教育の側面を持つように変容したことを説明、その流れの中で特筆すべき人物として、剣の世界では山岡鉄舟、柔の世界では加納治五郎を挙げ、彼らの思想がいかに豊かな人間を育てることを求めているかに触れました。柔道を、単なる勝敗に拘るスポーツではなく、人間修練の場としての武道として、このフランスでさらに広めていただけるよう、柔道連盟の幹部にお願いしました。
     柔道連盟の会長から、「領事には木槌でお菓子を叩いて壊してもらいます」と言われ、前に連れて来られてよく見ると、お米の菓子をお餅のように丸く作り、そこにホワイトチョコレートをまぶして作っていました。木槌はよく見ると、裁判官が使うようなカワイイ木槌でした。どれもこれも、少し日本のものとは違いますが、工夫をしながら、できるだけ日本の伝統に近づけて、これを大切に守ろうという、日本の文化・伝統に対するリスペクトが伝わり大変嬉しく思いました。
     模範演武の後は、可愛らしい子供柔道家による寸劇でした。こういうところが実にフランス的であります。内容は、とあるフランスの貧しい農村が山賊に荒らされて困っている。そこに、二人の柔術家が現れ、農民たちに柔術を教える、めきめき強くなる農民たち、やがて、山賊たちとの決戦の秋が。柔術を習った農民は山賊をばったばったと投げ飛ばす。そして、農村には平和な日々が蘇りました、というもの。御承知のとおり、ベースは「七人の侍」で、子供たちは役に入り込み楽しそうに演じていました。
     武道の「武」という文字には、二つの矛を止めるという意味があります。武道は、物理的に乱暴者を抑え込む力を与え、心に勇気を授けます。守りたいものを守るために強くなる、子供の頃にそういう考え方を素直に教わったフランスの子供達は、将来立派な武道家になると僕は思います。自分も子供の頃に、同じように「力なき愛は無力なり、愛なき力は暴力なり」と少林寺拳法の道場で習ったことを思い出しました。
     昨年暮れに、講道館から高段位の先生が研修指導でフランスの柔道場に来られました。私はてっきり日本流の武道の精神を強調するのかと思いましたら、「自分はフランスでいいものを盗んで日本に持って帰るつもりで来た」と最初に話されました。
     確かに、フランス柔道はスポーツとの外縁の整理が上手く出来ていないという印象を私も持っていましたが、実は認識違いではないかと思い始めました。勧善懲悪は子供に宿る最強のロジックで、誰もが仮面ライダーやウルトラマンに夢中になるのはそれが理由です。そして、武道を通して武道家の中に一本通っていなければならないのは、卑怯を嫌い、正義を貫く、という強い信念です。日本の幼年武道人口が毎年減少している中、このフランスの「JUDO」のあり方に確かに学ぶ点も多いと思いました。

     

     

     

     

       

     1月24日(日)グルノーブルで行われたグルノーブル・イゼール日仏友好協会(グルノーブル日本人会)主催の新年会に出席して参りました。約半数はフランスの方でしたが、皆さんの日本に対する情熱、愛情は計り知れず、日本語を自由自在に操っておられる方も実に多く、いやあ、これほど日本の魅力が浸透しているのだなあと改めて、大感動しました。
     外交を自分の職業に選んでから、首脳間外交に何度も取り組み、これを成功させることが最大の外交であり、外交自体が完遂したと思った自分もおりました。国と国の交わりにおいて政府が担う部分は重要でありますが、交わりの総体から見るとその表層の一部だとも思えます。かくして実体は、一人一人の日本人が、世界中で、様々な苦労にもめげず、立ちはだかる不条理と闘って、日本らしさを捨てず、日本文化を伝え、伝統や歴史を伝え、日本人として外国の方の心を丁寧に捉えてきたからなのだと気づき、本当に頭が下がる思いが致します。パリで勤務していた時には、こういう草の根の日仏交流の生の姿になかなか触れることがなかったので、毎日が学びの連続だと感謝しています。
     三味線で奏でるヨサコイ節に鼓手を打ち、野球拳で踊り、黒田節では大酒飲みの武士を演じるフランス人たち、国を離れてもう何年目になるのでしょうか、ジーンと心に響くものがありました。その他、茶の湯のセレモニー、盆栽の説明もあり、最後は子供達お待ちかねの餅つき大会がありました。小林家では、毎年12月28日にお餅をついていました。子供の頃から餅をつくのは私の仕事でしたが、10年ぶりに抱え上げた杵は思いのほか重く、それでも、ついているうちに体に馴染んだリズムはすぐに甦り、文字通り、昔取った杵柄、でありました。でも、夢中で餅をついているうちに、いったい自分はどこにいるのかわからなくなり、岡山で家族と餅をついているのだろうかと白日夢に陥りそうになりました。ペッタンペッタンと、グルノーブルのはずれメイラン市には、心地よい音がいつまでも続いていました。    

    (左:小林の挨拶。リヨン日本人会から米山会長、ボワロ副会長、篠田理事も同席されました。写真提供©Fabien LOUIS)
    (右:三味線の音色で、吉田グルノーブル・イゼール日仏協会会長と野球拳を舞うジェシカ・ボワロリヨン日本人会副会長。)

    (茶道のデモンストレーションも大変見事でございました)
    (写真提供:© Fabien LOUIS)

    (左:盆栽愛好家の方から、盆栽とはそもそも何かとの講義を受けました)
    (右:見事な三味線を披露されたセラム由香さんと音色に合わせて酔客を演じたパスカル・サバチエさん(餅つき名人))

    (左:昔取った杵柄とはこのことを言います。)
    (右:早くつかないと餅が冷めちゃうぞー、実に楽しい餅つきでした。)

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